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NTT「IOWN、データセンターの標準に」 電力消費抑制

NIKKEI GX 2024年11月21日

GX500 戦略を聞く

NTTは脱炭素経営ランキング「GX500 2024年版」で4位となった。国内グループ会社で日本の電力の約1%を消費することもあり、再生可能エネルギーの積極導入に動いている。電力を大量に使う人工知能(AI)の普及が見込まれるなか、再生エネ活用と並んで重要になるのが省エネだ。服部明利執行役員は光技術を使うことで電力消費を減らす次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」を、まずはデータセンターのサーバーに標準仕様として導入する考えを示した。

GX500 2024年版で上位に入った企業のインタビューを随時掲載します。

IOWNで45%減、再エネで45減減

――40年度を目標としているカーボンニュートラルをどのように実現しますか。

「40年度には国内外を含めたNTTグループ全体のスコープ1と2の排出量が13年度比で2倍弱の860万トンになると予測している。省エネに対する不断の努力を続けることで温暖化ガスの排出量の10%は下げられるだろう。光技術を使うことで消費電力を減らすIOWNの導入でさらに45%減らし、残り45%は再生エネでまかなう」

「IOWNは通信からコンピューティングの世界に広がっていくことで、将来的には消費電力を100分の1まで下げられる。ただ、技術の進歩が必要で効果を発揮できるのは30年代以降になる。まずは再生エネの調達を先行し、IOWNの普及とともにカーボンニュートラルを実現する計画だ」

――IOWNの導入先は。

「まずデータセンター(DC)間の接続になるだろう。電力需要の大きいDCにIOWNを組み込むことができれば、それだけ削減効果も大きくなる。サーバーやネットワーク機器に標準仕様として組み込んでいきたい。現時点ではベンダーやプロバイダーの名前は明らかにできないが、具体的な交渉を進めている。実現すればIOWNの普及の後押しにもなる」

「DCやAIの需要の高まりで、電力が一つのボトルネックになるという認識が産業界では広がっている。投資家の間でも異次元の省電力が実現できるという期待や関心は高い。構想どまりではなくビジネスとして打ち出していくことが求められている」

国内の再エネ調達、GPIが寄与

――再生エネの導入が大きく進んでいます。

「要因はDCにある。AI需要が後押しとなりDC事業の成長はさらに加速している状況だ。顧客のDC需要に合わせる形で特に再生エネのPPA(電力購入契約)などを増やしている。契約分が実際に稼働してきたことで調達量が増えた」

――23年には再生エネ開発のグリーンパワーインベストメント(GPI、東京・港)に出資しました。

「国内需要に関してはGPIの建設計画を着実に実行していけばおおむねまかなえる。海外では地域ごとに最適なアプローチを組み合わせながら再生エネの調達を進めていく。DCでの電力需要と再生エネ調達のバランスをどう取っていくかが課題になる」

「DCは今、土地不足というよりは電力の供給制約によって用地が限られている状態。地方など電力のある場所にDCを建設する選択肢を増やしていかないと、これ以上のキャパシティーを持つことは難しい」

――配電事業への参入を検討しています。

「具体的な検討はこれからだが、小・中規模の再生エネ発電が各地で行われるようになり、発電を巡る環境は大きく変化した。配電システムに需要を細かく予測できるICT(情報通信技術)と蓄電池を組み込むことで、再生エネの配電の仕組みを大きく進化させたい。岐阜県での実証実験でまず一歩を踏み出したところだ」

「強みになるのは通信事業者として全国に保有するインフラだ。蓄電池を置いて制御する拠点として活用できる。(電話交換機や無線設備を備えた通信ビルは全都道府県に7000カ所あり)きめ細かなインフラ構築に役立てることができる」

――ESG債の発行には陰りがみえます。

「20年度にまず400億円を発行し、23年度には7142億円で過去最大となった。累計では1兆4500億円になる。高速通信規格『5G』などへの投資を発行目的にしていたが、足元の会社の戦略としてはさまざまな分野への投資が起こりうる環境にある。多岐にわたる成長投資を同時に行う局面では用途を縛らない起債のほうが良いという考え方もある。24年度は現時点では発行していない」

――中期経営計画でサステナビリティーを根幹に置きました。

「今後目指すべき分野であり、間違いなく伸びていく分野でもある。将来の事業の中核に置いているIOWNは非常に大きな環境への貢献が期待できる」

「23年には社内の組織も見直した。企業の社会的責任(CSR)という観点からサステナビリティーに取り組む総務部門や環境技術を追求する研究開発部門を一つに集めて経営企画部の組織の一部とした。経営の根幹のひとつとして今後も推進していく」

はっとり・あきとし 1994年NTT入社。グローバルビジネス推進室担当部長などを経て23年に執行役員の経営企画部門長に。24年からサステナビリティ推進室長を兼務する。千葉県出身。

聞き手から)IOWN、事業段階に進める必要

生成AIは基盤となる大規模言語モデルの学習に莫大な電力を使う。質問に答える場合に使う電力は一般的な検索の約10倍。省電力という課題から目を背けることはできなくなる。IOWN構想の発表から5年が過ぎた。社会的な要請に応えるためには、世界中のプレーヤーを巻き込みながら研究開発から事業段階へと進んでいくことが不可欠になる。

(宮嶋梓帆)

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