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送電網の増強「物価高で投資回収難しく」 東電PG副社長

NIKKEI GX 2025年2月5日

データセンター電力爆食の震度㊦

東京電力パワーグリッドは地域間の連携設備を除く送電網の増強に2027年度までの5年間で約4700億円を投じる。管内でデータセンター(DC)の新設が相次いでいることなどを受け、直近5年間の3倍に増やす。ただ送電網の利用料金「託送料金」はインフレの影響が考慮されない仕組みになっており、岡本浩副社長は「現行の制度では投資回収の見通しが立たない」と懸念を示す。主なやり取りは以下の通り。

データセンターの急増が電力システムや脱炭素の動きに与える影響を、3回の連載で分析します。本日が最終回です。

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生成AIが消費電力押し上げ

――日本ではDCの新設が首都圏に集中しています。

「大手町から50キロメートル圏内でDCの集積地が相次いで出現している。17年ごろから千葉県印西市で大型DCの建設が相次ぎ、それ以外にも東京都の多摩エリアや茨城県の筑波エリア、神奈川県にも大型の建設計画があり、変電所や送電線を増強している」

――今後もDCの集積で電力需要の増加は続きますか。

「DC事業者からの申し込みベースで33年度に700万キロワット、37年度には950万キロワット増える見通しで、当面は増加傾向が続くとみている。生成AI(人工知能)の登場で半導体の計算量が莫大に増えている。サーバーを保管するラックあたりの消費電力は1台数キロワットから50キロワット、海外では100キロワット超に急増している」

「一方でDCの省エネ技術も急速に進んでおり、電力需要が現在の想定通りに伸びない可能性もある。海外ではサーバーを液体で冷やす方法や外気を空調に生かす方法などが導入され、DCの電力効率を示す値『PUE』は(日本の目標が1.4のところ)1.1に抑えられている。サーバーの消費電力も量子コンピューターが登場すれば大幅に下がる」

送電設備の仕様を共通化

――送電網の増強投資は世界で急増しています。計画通り増強を進められますか。

「インフレや需要増の影響で工事単価は上がっており、発注方法などを工夫している。メーカーやゼネコンにはなるべく長期の工事計画を伝えており、早めに施工人員や部品を確保できるようにしている。災害時に必要な応急用のケーブルといった汎用な送電設備は他社と連携して仕様をそろえ、一部は共同調達するなどしてコストを抑えている」

「送電網の増強費用は国に提出した計画をもとに託送料金として回収する仕組みだ。ただ現状はインフレの影響は考慮されていない。投資金額が想定より上振れした場合、先行して投資したキャッシュが回収できなくなり、必要な投資がなかなかできなくなってしまう。再生可能エネルギーの導入拡大に向け送電投資を進める上でも、国を含めて制度を検討する必要がある」

北関東へDC誘致

――電力需要の増加に対応しながら、どのように送電網を効率的に整備しますか。

「AIの学習や推論など通信速度が求められないDCでは、再生エネが余っている地域や送電網の余力がある地域に誘導する必要がある。東電PGでは15年からエリアごとに系統の余力を示したウエルカムゾーンマップを公開し、これまでDCの建設が少なかった群馬や栃木では少しづつ問い合わせが増えている」

「政府では託送料金を時間や場所ごとに変えることでDCの地方分散につなげる案なども出ているが、効果や送配電会社の料金システムの改修が間にあうかなどを見極めるべきだ」

――日立製作所と共同で、再生エネの発電量に合わせてDCの消費電力を調整するシステムを実証しています。

「離れた場所にある複数のDCで計算する量や空調の強さなどを調整する実証実験で、現在は二酸化炭素(CO2)排出量や電気代の削減効果などを調べている。将来は春や秋など再生エネが余ってしまうエリアにあるDCを優先的に使うなどして電力の需給調整を担い、収益化につなげていきたい」

(聞き手は泉洸希)

おかもと・ひろし 東大博士(工学)。93年に東京電力(現・東京電力ホールディングス)に入社後、電力系統に関わる技術開発や実務を主に担当。2015年に同社常務執行役を経て、17年から現職。東京都出身。


 
 
 

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