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世界のPPA、1割はAmazon 再エネ100%へアジアがカギ

NIKKEI GX 2023年12月11日

アマゾン・ドット・コムが「コーポレートPPA(電力購入契約)」での再生可能エネルギーの調達を増やしている。2023年1〜10月の新規契約のうち、世界全体の1割超を1社で占め、4年連続で世界首位になる可能性が高い。消費電力の再生エネ比率を100%に引き上げる目標を5年前倒しして25年に達成すると見込む。

1〜10月のPPA、16%増

調査会社ブルームバーグNEF(BNEF)によると、1〜10月の世界の新規コーポレートPPAは2540万キロワットで、前年同期(2190万キロワット)を16%上回る。22年は米国を中心に太陽光パネルの価格や労働コストが上昇し、PPA価格も平均6割超上がった。ただ「23年前半は下落に転じ、購入企業は新たな機会を利用している」(BNEF)という。

企業別では287万キロワット分の契約を結んだアマゾンが首位で、11%を占めた。2位のメタ(131万キロワット)の2倍以上の規模だ。

アマゾンはクラウドサービスを手掛けるAWSを傘下に持ち、世界中で運営する大規模データセンターは大量の電力を消費する。22年に1091万キロワット契約し、消費電力の再生エネ比率は22年に90%に達した。

23年1〜10月の新規PPAは22年通年に比べて74%減り、シェアも22年の3割から低下した。ただPPAは長期で契約することが多く、これまでの契約による調達分と合わせれば、25年に再生エネ比率を100%に引き上げる目標を達成できる見込み。

チェコの電力消費に相当

国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のデータセンターの消費電力は21年に2200億〜3200億キロワット時で、世界の消費電力全体の1%前後を占めた。科学技術振興機構の試算では、30年の世界のデータセンター消費電力は18年比で約16倍に急増する。企業はサプライチェーン(調達網)全体の排出量「スコープ3」の削減が求められており、データセンターの脱炭素化はサービスの競争力にもつながる。

大量の電力をまかなうため、アマゾンは世界中で再生エネ事業に関与している。米テキサス州では11月、350基超の風力発電設備を備え、発電能力は100万キロワットを超えるプロジェクトが稼働を始めた。日本国内では23年、伊藤忠商事グループで太陽光発電を手がけるクリーンエナジーコネクト(CEC、東京・千代田)から再生エネを購入する契約を結んだ。国内におけるコーポレートPPAでは最大規模になる。

ブラジルやインド、韓国などでもプロジェクトに着手した。11月時点でアマゾンが手掛ける風力や太陽光発電といった再生エネ関連のプロジェクトは約480に上る。稼働すれば発電量は年700億キロワット時を越え、チェコの電力消費量に相当する規模になる見込み。

グーグルやMSは順位低下

PPAは主に米国で発達した再生エネの調達手法で、これまでは米国企業が上位に多かった。23年1〜10月は3位にインドのタタ製鉄、4位に仏産業ガス大手のエア・リキード、5位にブラジルのアルミ大手アルブラスが入り、米国以外の製造業が躍進した。

一方、22年3位だった米グーグルは6位、4位だった米マイクロソフトは9位に下がった。マイクロソフトは5月、核融合発電の米スタートアップ企業ヘリオン・エナジーと28年からの電力購入契約を締結した。

欧州・アジアで増加

地域別では北米・中南米が932万キロワットで、22年通年(2418万キロワット)を大きく下回る。「PPA価格が急騰し、インフレ抑制法(IRA)を活用して自社で投資した方が優位性を持った影響が大きい」(シュナイダー・エレクトリックの木暮明大氏)という。

一方、欧州・中東・アフリカはエネルギー価格の変動を抑えるためにPPAを活用する需要が高く、1〜10月は1218万キロワットに達し、すでに22年通年(883万キロワット)を上回った。アジア太平洋地域も391万キロワットと、22年通年(476万キロワット)に迫っている。

シュナイダーの木暮氏は24年の動向について「これまで以上にアジア太平洋での導入決定が増える」とみる。日本で環境価値のみを取引する「バーチャルPPA(電力購入契約)」が可能になるなど、アジア各国でPPA導入を後押しする環境整備が進む。また米国ではPPA価格が落ち着けば増加に転じ、欧州は電力価格の変動を抑える需要が底堅いと木暮氏はみている。

(水口二季)

 
 
 

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