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再エネ「デマンドレスポンス」 使い手に報告義務

NIKKEI GX 点検・改正省エネ法④

改正省エネ法は、再生可能エネルギーの発電量に合わせて需要を調整する「デマンドレスポンス(DR)」の実施について報告することを義務づけた。再生エネ電力を無駄なく使うため、DRを促す目的がある。大量の電力を使う施設のひとつであるデータセンターを持つシステム企業は、太陽光発電と蓄電池を使ってDRに対応する。ただ蓄電池の容量や価格に課題があるため、実効性が保てるかは不透明な部分もある。

脱炭素を見据えた姿に変わった改正省エネ法が4月に施行されました。それぞれの産業にどう影響を及ぼし、企業がどう対処するかを4回にわたり連載します。今回は連載の最終回です。

【点検・改正省エネ法】

2024年度にDRの実施報告

改正省エネ法は、再生エネ電力を無駄なく使うために、DRを使って電力需給を最適化するよう求めている。エネルギー消費量が原油換算で年間1500キロリットルを超える事業者が対象で、DRを実施した日数の報告を義務付けた。

2023年度のDRから報告対象となり、23年度に実施した分は24年度に報告する。これまでの省エネ法は、社会全体の使用電力の多い時間帯に電力使用量を減らす「使用量の平準化(ピークカット)」を求めていた。

DRには「上げDR」と「下げDR」の2つの方法がある。改正法は2つの併用を事業者に求めた。上げDRは電気の需要を増やすため、特定の時間帯に電力使用量を引き上げる。昼間は太陽光発電の電力供給量が増える。過剰出力分を消費するため、電力を多く使う作業をしたり、蓄電したりする。下げDRは電気の需要を減らすため、太陽光発電の電力供給量が減る夕方から夜間に電力使用を抑える。

今回は実施の有無を報告対象とし、企業へのDRの浸透を優先した。「将来はDR実施量などの報告も求めていく」(経済産業省)との方針だ。

旧省エネ法との「二重苦」

「データセンター業界はてんやわんやだ。対応が追い付かない事業者も増えてくるだろう」。データセンターで再生エネの導入を進めてきたインターネットイニシアティブ(IIJ)基盤エンジニアリング本部の久保力基盤サービス部長は懸念を示す。

データセンターはコンピューターの処理や、それを冷やす冷却設備の稼働で大量の電力を使う。科学技術振興機構の低炭素社会戦略センターの推計によると、データセンターで消費する国内の電力量は30年に、全体の10%にあたる約900億キロワット時まで増える見通し。データセンターの消費電力の抑制は、脱炭素を実現する上で避けて通れない。

データセンター事業者には、従来の省エネ法から重い負担が課せられている。省エネ状況を業種共通の指標を用いて評価し、取り組みを促す経産省のベンチマーク制度だ。エネルギー消費量の多い製造業や流通業など17業種の一つに加えられ、初の報告が23年7月末に迫る。今回新たに需給調整も求められ、二重の負担になる。

データセンターを持つ各社の対応はまだ手つかずで、NTTデータは「対応方針について内部で検討を進めている」という。

電力需給管理を手掛けるエナジープールジャパン(東京・港)の市村健社長は、DR対応の成否を分けるのは「蓄電池」と話す。データセンターは昼夜を問わず、電力消費量の変動が少ない。昼間に発電した再生エネ電力を蓄電する「上げDR」が効果的だ。

IIJは千葉県白井市にある「白井データセンターキャンパス」で太陽光発電設備と蓄電池を活用している。今後、昼間に太陽光の電力を米テスラ製のリチウムイオン蓄電池1台にため、夜間に使う。他の事業者にノウハウ面を支援する事業も計画する。

ただこうした例はまれだ。蓄電池を導入するためには多額の費用がかかるため、普及が進んでいない。経産省によると、業務・産業用の蓄電システムの工事費含む価格は19年度、1キロワット時あたり24万円だったという。

政府は30年度の目標価格を1キロワット時あたり6万円とするが、「海外製は国産より安いが、手に入りにくい。国産製品の低価格化や、更なる補助金が必要」(IIJの久保氏)との声もある。

導入コスト、米国は3割安く

海外では、米アマゾン・ドット・コムがクラウドサービスのデータセンターなどで、21年12月時点で300メガ(メガは100万)ワットの太陽光発電と、150メガワットのバッテリー貯蔵システムでDRに対応している。米国は蓄電池の市場や生産量が日本より大きい。そのため価格が日本の約3割安く、導入が進んでいる。

オランダも蓄電池導入などにかかる税額を45%超控除するなど、手厚く支援する。

国内でも導入費用を抑えようとする動きが出ている。東京都は22年度から、全事業者を対象に導入費用の最大3分の2を補助する制度を始めた。経産省も導入費用を最大3分の1補助する。

改正省エネ法は企業の脱炭素化を促すため、規制色を強めたのが特徴といえる。企業の負担が増す中、欧米のような技術開発や、設備の導入支援を同時に進めることが実効性の確保につながる。

(岡本孔佑)

 
 
 

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